2017.07.28
考古学研究室が巫女形埴輪と馬形埴輪の復元を行いました。
名古屋市志段味古墳群で平成30年度末にフルオープン予定の「歴史の里」で、考古学研究室のみなさんが復元した埴輪が展示されます。今回復元された埴輪は西大久手古墳の巫女形埴輪と馬形埴輪の二つで、考古学研究室の文化遺産学科3回生、藤本祥人夢さんと近藤匠さんが中心となり1600年前の姿をよみがえらせました。お二人に今回の復元に関して経緯や苦労話を伺いました。
馬形埴輪 巫女形埴輪
-まずは今回の復元に至った経緯をお聞かせください
藤本さん:今年の2月、名古屋市教育委員会から考古学研究室顧問の高橋克壽先生に二種類の埴輪の復元について相談がありました。その後私が依頼を受け、研究室の仲間とともに復元作業にあたることになりました。巫女形埴輪を自分が、馬形埴輪を近藤くんが中心となってそれぞれ3人ほどのチームを作って作業にあたりました。そしてどうにか3月末には復元を終え教育委員会に返却しました。
石室前で佇む馬形埴輪と巫女形埴輪
-高橋先生経由で復元にあたることは多い?
近藤さん:他大学ではよそからの依頼を受け学生が復元にあたることはなかなかないと聞きます。高橋先生にはこういった機会を多く設けていただき、自分自身が歴史に関われることへの喜びを感じていますし、さらに研究を深めることができるので大変ありがたいです。
-今回の復元にあたって苦労したことは?
藤本さん:人物の埴輪を復元するのは初めてで、最初、残された情報からこの埴輪がどういった順序、方法で作られたものか顔面部と胴体の一部しか残っていなかったためわからず、完成形が見えない中でのスタートでした。特にスカートの丈のサイズ感に苦労しましたが、数ある報告書の中から参考となる埴輪を見出しなんとか完成に漕ぎづけました。
巫女形埴輪について説明する藤本さん
近藤さん:僕たちが担当した馬形も今まで復元したことの無い埴輪でした。さらに東日本最古級の資料となりうる埴輪ということで作業にあたる前からプレッシャーは相当ありました。破片の情報も少なく、どこにはめ込んでいったらいいか迷いながら自分たちの判断を頼りに作業を進めていきました。大きな埴輪ということもあり、全体のサイズと足の長さの比率を考えるのが難しかったです。そこでも類例を埴輪を参考にしながら、試行錯誤を重ねてなんとか作り上げました。
馬形埴輪について説明する近藤さん
-復元を終えた際のお気持ちをお聞かせください
藤本さん:完成形がなかなか見いだせなかった分、なんとか復元を終えたときに達成感と安堵感が押し寄せました。
近藤さん:今回の復元では研究を重ね自分たちのレベルアップにつながりましたし、また地域の文化の振興に貢献できたことが嬉しかったです。
埴輪たちと復元に携わった研究室員
平成30年度末にフルオープンする名古屋市志段味古墳群のガイダンス施設、少し先にはなりますが、ぜひ復元された二つの埴輪をご覧ください。