学部・大学院
禅仏教 … 創造的人間学の道
仏教学科においては、本学の課程を修め、所定の単位取得とその他の条件を満たした上で、幅広い教養と仏教に関する専門的知識・技術を修得した人材を養成する。(「学則」第4条の2)
仏教学科は、国際的関心の高い臨済禅を柱とする伝統ある学科です。これまでも多くの有徳の僧侶、そして研究者を輩出してきました。
約2500年の歴史を有する仏教は、世界の諸地域に展開し、その精神文化の形成に深く関与してきました。人類の思想的蓄積としてのその営みは、思想・哲学・文学・芸術・福祉・教育など、多くの分野に影響を与え続けています。
そもそも花園大学は、明治5年に宗門を担う寺院後継者育成のために設立された妙心寺の学寮・般若林に始まる臨済禅の最高学府。仏教学科はその基幹学科として、建学の精神である禅のこころを最も具現している学科であり、確固たる主体性を有した何ものにも執われない自由なこころと国際的な広い視野、そして不屈の行動力をもって、すべてにわたり臨機応変に対処し、自発的に社会に貢献し、人々に率先して模範となる、行と学の釣り合いのとれた「禅的人材」の育成を目指しています。
曾祖父の代から代々本学科で学んでいるという学生も多いのは、長い歴史を有する当学科がもつ特徴の一つです。寺院後継者として次世代を担うに必要な専門知識と素養を修得できることから、特に将来において臨済宗寺院後継者となる方には、必ず当学科で学んでいただきたいと考えています。そのため、宗門や社会に貢献する人材を育成するプログラムが用意されており、所定のカリキュラムを履修すれば、卒業時には「臨済宗妙心寺派教師資格」を取得できます。
また、宗派によらず、広く仏教を学ぶ者にその門戸を開いており、これから僧侶となることを志す方に限らず、一般学生や社会経験者、海外からの留学生などが多く在籍しており、さまざまな角度から共に学び高めあえる環境を用意しています。
先人達が残した多くの歴史遺産や、いまに息づく伝統文化に触れることができる京都。そして多くの雲水が今まさに修行を実践する京都は、僧侶をめざす学生にとって最高の学びの場です。その京都で、“ほんもの”の禅に触れながら、僧侶の営みに必要な実践力を磨く「妙心寺派僧侶育成課程」が誕生。かつて妙心寺般若林(僧侶たちの学舎)であった世界唯一の臨済禅の四年制大学・花園大学と、大本山妙心寺での学びを通して、これからの僧侶に求められる知識・経験・学問・スキルを修得する課程です。
必修科目 | 選択科目 |
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【必修科目】 仏教とは何かⅠ・Ⅱ 禅とは何かⅠ・Ⅱ 仏教学の基礎知識Ⅰ・Ⅱ 実践禅学Ⅰ-Ⅰ・Ⅰ-Ⅱ 実践禅学Ⅱ-Ⅰ・Ⅱ-Ⅱ 接心Ⅰ・Ⅱ 【演習】 仏教学演習AⅠ〜V 仏教学演習BⅠ〜V 【卒業論文】 卒業論文 【講読】 漢文の基礎Ⅰ-Ⅰ・Ⅰ-Ⅱ 漢文の基礎Ⅱ-Ⅰ・Ⅱ-Ⅱ 日本の禅籍Ⅰ・Ⅱ 中国の禅籍Ⅰ・Ⅱ 漢詩入門Ⅰ・Ⅱ |
[ 選択必修科目 ] インド仏教の歴史Ⅰ・Ⅱ 仏教の美術Ⅰ・Ⅱ 仏教の教理(華厳と天台)Ⅰ・Ⅱ 仏教の論理(中観と唯識)Ⅰ・Ⅱ 中国の歴史と仏教Ⅰ・Ⅱ 中国禅宗の歴史Ⅰ・Ⅱ 日本禅宗の展開Ⅰ・Ⅱ 日本仏教の歴史Ⅰ・Ⅱ 栄西と道元Ⅰ・Ⅱ 東西の死生観Ⅰ・Ⅱ 近代の禅思想Ⅰ・Ⅱ 仏教哲学の世界観Ⅰ・Ⅱ 臨床死生学論Ⅰ・Ⅱ 禅宗日課経典の解説Ⅰ・Ⅱ 禅のことばⅠ・Ⅱ 欧米の禅事情Ⅰ・Ⅱ 法式実習Ⅰ・Ⅱ 教化実習 書式実習 [ 選択科目 ] 宗教学(専) 宗教史 哲学概論 仏教の戒律 倫理学(専) サンスクリット語(初) 等 |
中学校教諭一種免許状(宗教)・高等学校教諭一種免許状(宗教)・学校図書館司書教諭資格・健康運動実践指導者受験資格・図書館司書資格・臨済宗妙心寺派教師資格など。
仏教学科の目的を達成するために、卒業時に身に付けておくべき5つの資質・能力を定め、所定の期間在籍し、所定の単位を修得したことをもって、教育目標を達成したものとみなし、学士の学位を授与する。
自分自身のものの見方・考え方は、まだ不十分で発展途上にあることを自覚し、自分がもともと具えている力を見出す「己事究明」を通じて、より優れた見方・考え方の獲得を目指して学び続け、いかなる状況にあっても自立性と自律性を持って、主体的に行動することができる。
仏教学に関する専門的知識・技術を体系的に理解して修得し、具体的に活用することができる。また、そのことを通じて、自己とは異質な他者を含めて、あらゆる多様性を理解して受け容れることができる。禅的な自己追求の方法や仏教の歴史・思想についての知識、宗教者としての社会的実践についての知識などを習得するとともに、専門道場での修行につながる基本的所作を身に付けて実践できる。
仏教学に関する学びを通じて、情報や知識を論理的に分析して表現したり、問題・課題を発見して、その解決に必要な情報を収集・分析したりできる思考力や判断力を身に付け、問題・課題を解決することができる。現代社会における問題・課題を仏教学的に分析して、解決策を提示することができる。
他者の思いや考えを正確に理解するとともに、自らの思いや考えを的確に表現して意見を交わすことができる。また、情報を収集・分析し、その内容を正確に判断して、活用することができる。宗教者として社会実践に必要なコミュニケーション能力を身に付け、それを活用することができる。
他者の立場や利益を慮る「利他の精神」を養成し、社会の一員としての意識を持って、修得した知識、思考力、判断力、技能等を活用して、社会のために積極的に関与し、社会に貢献することができる。宗教者として必要な価値観・倫理観を身に付け、専門的知識・技術に基づいた社会実践を通じて、社会に貢献することができる。
仏教学科は、卒業認定・学位授与に関する方針を到達目標とする教育課程を編成する。基礎教育科目、専門教育科目など必要とされる科目を体系的に編成し、講義・演習・実習などを適切に組み合わせた授業を開講する。教育課程の体系性を示すために、各科目間の関連性や各科目の内容の難易度を表現した番号を付与したナンバリングを行い、カリキュラム・マップを作成するなどして、教育課程の構造を明示する。
1 教育内容、2 教育方法・学修過程、3 評価については、以下のように定める。
基礎教育科目(必修区分)に、「基礎禅学」、「人権」、「基礎英語」、「アカデミック・スキル」(初年次教育科目)、「コミュニケーション・スキル」(初年次教育科目)、「キャリア・デザイン」(キャリア教育科目)を配置する。
基礎教育科目(選択区分)に、教養科目群、外国語科目群、体育科目群、情報処理科目群、キャリア科目群、総合科目群を配置する。
仏教学科の各専門分野の学問研究の体系性を考慮しつつ、学修の系統性や順次性に配慮しながら体系的な教育課程を編成する。必修科目の履修年次の指定を始め、各学部・各学科において、各学年次・各学期(前期・後期)ごとに、適切な科目配置を行う。
専門教育科目を中心とする教育内容を統合するために、4回生次に「卒業論文」あるいは「卒業研究」などを必修とし、「卒業論文」あるいは「卒業研究」などを作成するための演習科目を、3回生次と4回生次に配置する。
仏教学科の授業において、学生一人一人の理解度等を考慮して、きめ細かい個別の教育的指導を各教員が行う。授業の内容と試験問題・レポ-ト課題の内容・実施時期との整合性・連携性を適切に保つとともに、それらの採点結果の学生へのフィードバックに努める。採点の際には、ルーブリックを使用することを含めて、評価基準を明確化するとともに、必要に応じて、評価者間において評価基準を標準化・共有化して、適切な成績評価に努める。
学生が学び続け、いかなる状況にあっても自立性と自律性を持って、主体的に行動することができることにつなげることを目指す。
学生が仏教学に関する専門的知識を体系的に理解して修得したり、他者の思いや考えを正確に理解するとともに、自らの思いや考えを的確に表現して意見を交わしたりすることができるようになるため、授業において、発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習、グループワーク等といった広義のアクティブ・ラーニングを採用し、学生の能動的な学修への参加を取り入れることに努める。
このことを通じて、学生が自分とは異質な他者を含めて、あらゆる多様性を理解して受け容れることにつなげることを目指す。
仏教学に関する学びを通じて、学生が情報や知識を論理的に分析して表現したり、問題・課題を発見して、その解決に必要な情報を収集・分析したりできる思考力や判断力を身に付け、問題・課題を解決することができるようになるために、PBLやチーム・ラーニングのように、課題を解決する形式の教育方法を授業において採用することに努める。
このことを通じて、他者の立場や利益を慮る「利他の精神」を養成し、学生が社会の一員としての意識を持って、修得した知識、思考力、判断力、技能等を活用して、社会のために積極的に関与し、社会に貢献することにつなげることを目指す。
本学では、卒業認定・学位授与に関する方針において、卒業時に身に付けておくべき5つの資質・能力〔DP1~DP5〕を定めた。それらの資質・能力の修得状況を(1)大学レベル、(2)学部・学科レベル、(3)学生個人レベルの3つのレベルで把握・評価する。
大学レベルの評価については、① 1回生次と3回生次に実施する「ジェネリックスキル測定テスト」の結果、② 「卒業論文」あるいは「卒業研究」などの成果、③学生の志望進路に対する進路決定率によって、それら資質・能力の修得状況を評価する。
文学部と仏教学科レベルの評価については、①1回生次と3回生次に実施する「ジェネリックスキル測定テスト」の結果、②「卒業論文」あるいは「卒業研究」などの成果、③学生の志望進路に対する進路決定率、④仏教学科で取得が可能な免許・資格の取得状況によって、それら資質・能力の修得状況を評価する。
学生個人レベルの評価については、①1回生次と3回生次に実施する「ジェネリックスキル測定テスト」の結果、②各科目のシラバスにおいて提示された成績評価基準に基づいてなされた成績評価、③「卒業論文」あるいは「卒業研究」などの成果によって、それら資質・能力の修得状況を評価する。
仏教学科が卒業認定・学位授与に関する方針に定めた卒業時に身に付けておくべき5つの資質・能力〔DP1~DP5〕を身に付けた人材になるためには、仏教学科で学ぶ目的意識や意欲を持った上で、高等学校までの学修で学んだ知識や、自ら考えて判断する力、さらに、聞く・話す・読む・書くというコミュニケーション能力の基礎的な内容等を身に付けて入学してくることが求められる。そのため、仏教学科の志願者には、以下の(1)~(5)のことを求める。
自分自身の資質・能力は、まだ不十分で発展途上にあることを自覚し、大学で学ぶ目的意識と意欲を持っている。高等学校までの学修やその他の活動において、他者に過度に依存したり、従属したりせずに、自らを律して、主体的に行動した経験を有する。
高等学校の教育課程を幅広く履修して、学修成果を修得している。高等学校で履修した教科・科目について、基礎的な知識を理解して修得し、基礎的な問題を解くことができることを始めとして、具体的に活用することができる。
高等学校までの学修を通じて、日常生活を始め社会における様々な問題について、情報や知識をもとにして、筋道を立てて論理的に考えて、問題が発生した背景や、問題の諸要因を説明したり、解決策を提案したりすることができる。
高等学校までの学修を通じて、聞く・話す・読む・書くというコミュニケーション能力の基礎的な内容を身に付けている。他者の思いや考えを正確に理解するとともに、自らの思いや考えを的確に表現して、意見を交わすことができる。
仏教学科の学修において獲得する知識や技能を活かして、社会に貢献するという目的意識と意欲を持っている。高等学校までの学修活動、課外活動やボランティア活動等において、多様な人々と協働して、目標の達成を目指した経験を有する。
仏教学科4回生(取材時)
群馬県立富岡高等学校 出身
仏教学科 准教授
人見 良謙
仏教学科2019年卒業/京都府立亀岡高等学校出身
大本山南禅寺
近藤 敬道
国際禅学科(現仏教学科)2015年卒業/
神奈川県立厚木清南高等学校出身
当学科の科目には、文献研究から実習に至るまで多彩で特徴的な講座が数多く設けられており、国や思想の領域を超えて学びの世界を大きく拡げ、充実した教授陣のもと、仏教・禅を基礎から学び、歴史・思想・文化芸術など仏教・禅に関わる幅広い研究領域を、様々な角度から発展的に学んでいくことができます。
さらに、選択科目の中から定められた心理学科の主要授業20科目40単位の中から10単位までを仏教学科の単位として履修できる工夫がされています。
気脈の合う教授と徹底的なマンツーマンの接触が可能です。個性的、かつ国際的な教師が多士済々。専門にとらわれない主体的な展開も可能です。
臨済・黄檗二宗15派の宗門徒弟を育成し、現代社会に役立つ有能な人材を輩出することは、当学科の最も重要な使命です。次代を担う立派な僧侶としての素養を築くため、提唱と坐禅の実修から成る「実践禅学」、禅語の素読や禅の日常生活面を学べる「接心」、漢文や偈頌、禅の典籍を基礎から習得できる授業や、寺史の研究、法式や布教の実習など、他には全く無い特色有る講座が数多くそろっています。
禅を極めた「老師」と呼ばれる高僧から親しく学べる機会は得がたいものです。「本物」に触れ、人や寺院と貴重な縁を結べるのも当学科ならではの利点。これから専門道場で修行をする予定の方、既に一定の修行をされてきた方や住職や副住職になっている方、禅宗以外の宗派に属している方も学んでいます。もちろん、一般家庭から僧侶の道を志す方にも道が開かれています。
禅は、欧米をはじめとする世界各国の人々から注目され、国や民族、宗教を超えて多くの人々に知られ、実践されています。いまや「禅(ZEN)」は世界共通語。禅を知ることは、国際人としての条件の一つでもあるのです。
本学科は世界の国々に展開する禅の実践・教育・研究といた各方面の機関と密接な関係をもっており、留学はもとより、海外における活動に参加、体験する機会も豊富に提供しています。学外研修を行い、実地に仏教や禅を学ぶ中で得た知識と体験により、広い視野と洞察力が身につきます。
語学研修先として、カナダ、オーストラリア、中国、韓国などが用意されています。
現代の仏教者は、現代社会における多様な問題に如何に対応し、貢献するかが問われています。当学科の講座や活動を通じて、仏教文献を正しく読解し、禅の精神や生活、文化を学び、習得して、そこから得た智慧に基づき、実社会で活動し貢献するための知識と技術と行動力を養うことができます。
茶道、華道、書道、建築など、禅に関わる伝統文化・芸術を、その道の専門家から直接学べます。中高年の方々も学生として学びに来られています。
京都には、多くの宗派の本山が集まっており、様々な伝統行事が今に承け継がれ、生きた仏教に触れることが出来ます。この地の利を生かして、幅広い歴史や文化、社会の動向を見据える眼を養いながら、アットホームな環境で、充実した学生生活を送ってください。