2026年度前期学位記授与式を挙行しました
残暑はあるもののキャンパスに吹く風に秋の気配を感じる今日9/24(木)、本学教堂において「2026年度前期学位記授与式」を挙行しました。
本日をもちまして、10名の学部生の皆さんが卒業を迎えました。
花園大学での学生生活は有意義なものとなりましたでしょうか?
ここで培った経験を糧に、それぞれのフィールドでこれからの人生を歩んでいってください。
ご卒業おめでとうございます。
【 式辞 】
本日ここに学位記を受け取られた皆さん、おめでとうございます。この秋、学部生10名が卒業を迎え、その内訳は文学部3名、社会福祉学部7名です。花園大学教職員を代表して、心よりお祝いを申し上げます。皆さんを励まし支えてくださったご家族の方々にも、感謝と祝福の意をお伝えしたいと思います。
1.建学の精神
卒業に当たり、あらためて花園大学について考えてみましょう。
花園大学は明治5(1872)年妙心寺山内に「般若林」が創建されたことにより始まりました。明治4年に廃藩置県が行われ明治政府が名実ともに国民国家として確立したその翌年であり、明治の三大改革が始まった年でもありました。
明治5年、三大改革の一つ「学制」が公布されました。日本に初めて近代的な学校制度が導入されたのです。太政官布告は、立身・治産・昌業のためには、人々すべてその身を修め、智を開き、才芸を長ずることが緊要であると論じています。
一方、本学の建学の精神は「禅的仏教精神による人格の陶冶」です。その目的は臨済宗の宗祖である臨済禅師が「随処に主と作れば、立処皆な真なり」と言われるように、どの様な状況であっても主体的に行動できる、自立性・自律性を養成することです。すなわち、学制でいう立身とは、建学の精神で謳っている自立性・自律性なのです。
明治以降、日本は「学制」の自主自立を基本に発展してきました。この我が国の基本哲学が、本学の建学の精神でもあるわけです。花園大学で学んだことに自信をもって社会に羽ばたいていってください。
2.どのような景色が見えるか
次に、私は、大学は学問を学ぶところであると言ってきました。学問を学ぶということは、単に専門知識や技術を習得するということだけではありません。2023年WBCで優勝した栗山英樹監督は、「見たことのない景色を見させてもらった」と。
「KINGDOM」で王騎将軍が信に対し、「これが将軍の見る景色です」といいます。「将軍の目には色々なものが見えます。例えばほら…敵の群れを、敵の顔を、そして味方の顔を、天と地を。これが将軍の見る景色です」。信はこの瞬間、「今の一瞬でなぜか全身に力がみなぎった」と感じており、王騎から受け継いだこの景色が、その後の信の成長における道標となります。
いま皆さんは、大学を卒業します。皆さんにはどのような風景が見えているのでしょうか。それは、美しく、力強く、温かいものであるはずです。
ある学生が私に尋ねました。「私は4回生にもなったがいまだ自分が何をしたいのかわからないと」。そこで、神戸の祥福僧堂師家の岩村宗昂老師が「禅とこころ」の講義で使われた「森下典子『日々是好日(にちにちこれこうじつ)』を読む」の一節を渡しました。
「世の中には、「すぐわかるもの」と、「すぐにはわからないもの」の二種類がある。」「人には、どんなにわかろうとあがいたところで、その時がくるまで、わからないものがあるのだ。しかし、ある日、わかってしまえば、それを覆い隠すことなどできない。」
今、その景色が見えなくてもよいです。ある日、わかる日が来ます。それまで誠実に生きてください。
3.AIの時代に必要なのは、人間性
AIの時代にプログラマーはいらなくなる。多くのホワイトカラーの仕事はなくなる。AIの発展によって、多くの仕事や資格が必要でなくなる。そのように言われています。そして残るのは?
本学の特別教授佐々木閑先生によると、それは、人間性だと言います。AIは人間性を越えることはできません。人間性は大学教育の中心的なテーマであり、人が生きる上での基本的な課題です。どうか、人間として人間らしく成長していってください。
4.急激な変化の時代
人類は大きな変化に直面しています。国際秩序が変化し、戦争が日常的に報道されるようになりました。グローバル経済は不具合を露呈し、人々に生活の豊かさをもたらさなくなりました。そもそも、人類は地球温暖化に直面し、災害が日常的に日本各地はもとより世界各国で発生しています。宇宙船「地球号」の生態系は人類の生息の場としてとても危機的な状況にあります。
この変化のスピードは、これまで50年かかったことが数年で起きているように思えるほどです。皆さんにはそのスピードに惑わされることなく、それぞれの人生の岐路において適切に判断していっていただきたいと思っています。
5.若者を信じて
このような急激な変化の時期に皆さんを社会に送り出すことになります。しかし、私は若者を信じています。ソウルにいっても、モンゴルのウランバートルに行っても、ウズベキスタンのタシケントにいっても、若者は親切です。私が道を探していると、必ず誰か若者が私に寄ってきて道を教えてくれます。本当にどの国の若者も、心根が優しく人を大切にしてくれます。
私は若者が人類の危機を救ってくれると信じております。皆さん、苦難を恐れず、際限のない社会の「大海」へ漕ぎ出していってください。
卒業、誠におめでとうございます。
令和8(2026)年9月24日
花園大学学長 磯田 文雄
学位記授与式の様子

学位記授与

磯田文雄学長による式辞

松田隆行文学部長による贈る言葉

梅木真寿郎社会福祉学部長による贈る言葉

卒業生代表による謝辞
