Department of Japanese Literature
いまだからこそ学ぶ、
日本の文学とことば。
一生の力になる国語力を磨く。
文学はことばの芸術であり、長い歴史ある文化ですが、現在は読書離れが進み、文学に親しむ人は少なくなっています。しかし、私たちはことばで考え、ことばで表現します。ことばが豊かであればこそ、人は豊かな思考ができ、よいコミュニケーションがとれるのです。文学離れが進み、国語力が低下する現代こそ、学ぶべきは“ことばの文化”であり、それがあなたの人生にとって、かけがえのない力になります。日本文学科では、文学をはじめとすることばの文化を守り、育て、発信できる人、確かな国語力で活躍できる人を社会に送り出します。
高い身分や地位にありながら、政治的な事情で朝廷から排され、地方へ下った人々がいます。例えば、小野篁、菅原道真、後鳥羽院、フィクションの人物では光源氏など、歴史や文学の世界で著名な流人は少なくありません。彼らは配所へ向かう道中で、またたどり着いた配所で、和歌を詠み、自らの心を慰めました。彼らの和歌をさまざまな歌集や文献から収集し、表現面に分析を加えたのがこの論文です。著者の分析によれば、流人の詠んだ和歌の主題や、そこに詠まれる題材には一定の傾向が見いだせます。雁、千鳥、月、須磨の海人といった、彼らが実際に訪れた場所で目にした風景や土地の景物を引き合いに出して、自身の境遇を悲嘆したり、心を慰撫したりする和歌が多いのです。また、それらの題材をどのような発想のもとで歌に詠み込んでいるかという点に注目すると、その取り入れ方は、一般の和歌の発想に依拠したものであることも確認できます。流人という特殊な境遇にあった人々の想いは、和歌の世界のルールに則って表現されることでかえって普遍性を獲得し、遠く離れた都にいる大切な人々の元に届けられたのでした。(中古文学・鎌田智恵)
谷崎潤一郎の代表作といえば、関西移住後に書かれた『痴人の愛』『春琴抄』『細雪』などですが、大正期には探偵小説も書いています。その中でも、『私』は叙述トリックが仕組まれた特徴的な作品です。この卒業論文では、『私』を主人公「私」の友人に対する劣等感や自尊心が刻み込まれた物語として読み直しています。また、語る「私」と語られる「私」を区別しながら、語る「私」の意識が語られる内容にどのように影響しているのかもしっかりとおさえています。(近現代文学・高橋啓太)
准教授 高橋 啓太
中山 空 さん
日本文学科 日本文学コース 2年生(取材時)
京都府 洛西高等学校 出身
トナミシステムソリューションズ株式会社
白川 智也 さん
日本文学科日本文学コース 2022年卒業
愛媛県 松山中央高等学校出身
※所属等はインタビュー当時のものです。