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お知らせ

2021.04.05お知らせ

2021年度入学式式辞


 このたび晴れて花園大学に入学された皆さん、入学おめでとうございます。花園大学の教職員を代表してお祝い申し上げます。
 また、この日を心待ちになさっておられたご家族・保護者の皆さまにも、心よりお祝いを申し上げます。
 皆さんは、コロナ禍の中で高校生活を送られ、また、入学者選抜に向かう準備をされてきました。その間、いろいろなご苦労があったことと思います。それを乗り越え、晴れてこの花園大学のキャンパスに立たれたことは素晴らしいことであると考えます。

 では、花園大学はこれからどのようにして皆さんとお付き合いしていくか。花園大学は、建学の精神である「禅的仏教精神による人格の陶冶」を基本に学生一人ひとりを大切にしたていねいな教育に取り組んでまいります。

 二十世紀、人類は自然科学の進展により大いなる発展を遂げました。しかしながら、二十一世紀になり、どの分野においても課題を乗り越えられないでいます。特に気候変動と格差の問題は深刻です。その原因は、二十一世紀をリードする新たな哲学と思想がないからです。建学の精神にある「禅的仏教精神」は本学の教育の根幹であり、未来を生きる若者の育成に大いに意味があります。それだけでなく、「禅的仏教精神」は二十一世紀において人類を導き人類の課題解決に資する重要な哲学の一つであります。
 歴史に学ばなければなりません。歴史とは、現在を過去から投影し、未来を考えることです。すなわち、「パースペクティブ」(Perspective)です。過去を研究し、過去に学ぶことにより現在を分析、理解することができる。過去から現在を投影し、現在を分析、理解することにより、未来が見えてくる。歴史に学ぶとは、過去から現在を見つめ、未来を展望する作業なのです。

 次に、わたしたち人間の営みは、社会システム、政治システム、市場システムという三つのシステムの中で行われていますが、市場社会成立以降、市場システムが大きくなりすぎています。これを変える動きが生まれています。政治学者の佐々木毅先生がおっしゃるように、「政治理論は政府と市場という二つの大概念との対比による社会という概念の復活・活性化に向けて穏やかに動いて」います。「政府も市場も社会を無視しては生きていけない。それどころか、政治家も企業経営者も社会に対して感度を研ぎ澄ますことが求められ」ます。「二十一世紀がどのような三者のリバランスを生み出すのか」、「それへの、創造的な参画なしには、未来は展望できない。」
 花園大学の母体は大本山妙心寺です。寺院は昔から地域の人々の心、暮らしに密着し、常に人々の支えとなる存在でした。社会福祉学部にはその精神が引き継がれています。人々の心に寄り添い、手を差し伸べる支援を追究・実践し続けています。私たちは、社会システムの中で、すべての人々の人生をあらゆる場面で支援できる人材を育成しているのです。学生の皆さんには、社会福祉、臨床心理、児童福祉に係る専門的知識と技術を習得していただきます。そして、その学んだことを社会システムの中で大いに生かされんことを期待しています。日本そして人類の未来は社会システムの復活・活性化にかかっています。すなわち、社会システムの担い手である皆さんの活躍にかかっているといっても過言ではありません。

 次に、花園大学は「日本一面倒見の良い大学」を目標に掲げています。ここにいらっしゃる新入生の方の一人から、花園大学を選んだのは「面倒見の良い大学」だからといわれました。この言葉に報いるよう教職員一同全力を挙げて、皆さんの四年間を支えていくことを誓います。
 以上が、私たちが皆さんと四年間お付き合いしていく姿勢です。

 それでは、皆さんの方に話を移します。皆さんは四年間の大学生活で何をしようと思い描いておられるでしょうか。大学生活を始めるにあたって、ぜひ心にとどめておいていただきたいことを申し上げます。

 まず、第一に申し上げておきたいのは、「初心忘るべからず」です。今の気持ちを大切にし、よく覚えておいてください。四年後の自分に手紙を書いておいてもいいでしょう。なぜ、今ここにいるのか。何をしようと考えているのか。
 そして、一年後、その初心を思い返してみてください。一年前の自分とどう違っているか。どのような成長があったか。どう自分は変わったか。変わらなかったものはなにか。それを繰り返してください。そして、四年後に今日の自分とその時の自分を比較し、四年間の学生生活を振り返ってください。大学における四年間は、自分をどこに導いていったか。

 第二に、困ったことがあり、思い悩むときは、周囲の人と対話を重ねてください。家族、友人、先輩、そして、花園大学の教員、職員。
 周囲の人と話したとしても直接の答は与えてくれないかもしれません。引き続き考え悩むかもしれません。しかしながら、対話をすることによって、自分の考えが整理できます。自分が何をしたいか。自分が悩んでいることが、本当はどのようなことなのか。
 自分の心根も変わります。ソメイヨシノの薄いピンク色の花びらが目に飛び込んできて、心の中までしみこむように美しく感じるかもしれません。春の深まりとともに鶯のさえずりが大きく、明るくなっていることにふと気づくかもしれません。
 周囲の人との対話は、皆さんの心の糧になり、成長の肥やしとなります。

 第三に、「根無し草」にならないでください。
 佐々木毅先生が論じているとおり、世界のどこでも通用し、活躍する人材、すなわち、グローバル人材は、究極的には社会的に見て「根無し草」です。
 他方、どの社会も個性と歴史を持ち、地域に根を生やしている以上、「根無し草」ばかりを集めても社会をつくることができません。社会と地域の将来を慮り、多くの人々を糾合して新しい姿を描き、実践していく人材には何よりも地域性へのこだわりが必要です。専門性の高い政治や行政、地域経済の担い手なしに社会の再生産は不可能です。
 人は具体的な人との関係の中に生きているのであり、抽象的な国家と共に生きているのではありません。家族や地域や職場の仲間という具体的な人との関係の中で人は生き、それらの人々との間で愛や友情や信頼を醸成し、そこにこだわりを持ち、生きる意味を感じるのです。

 そして、さらに具体的なお願いを一つ申し上げます。それは、新型コロナ感染症防止についてであります。京都府内の大学等において新型コロナ感染症のクラスターが発生しており、府内の大学生の週当たり新規感染者数も大幅に増加しています。入学間もない時期は、開放感にまかせて、羽目を外したくなってしまうものですが、新入生の皆様には、飲食を伴う行事の自粛や、課外活動等における感染防止対策を徹底していただくようお願いします。

 最後に、皆さんのこれからの大学生活に熱いエールを送り、私の式辞を終えることにします。

令和三年 四月二日
花園大学学長 磯田文雄

 

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