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花園大学人権週間「知ることから」

第32回花園大学人権週間 前夜祭


登場人物の一員となって

首藤 晶子

映画写真.jpg

 毎年6月、その年12月に開催する人権週間の企画を考えます。例年学内の教職員・学生に企画案の提出をお願いします。大学行事でもあり、人権を考えるという趣旨からも、広く意見、希望を募りたいと思っているからです。今回前夜祭にかける映画についても卒業生から「ぜひ、この映画を観てみたい!」という希望があり、企画会議で上映を決定しました。そんなことで、今、私がこの映画の紹介を書いています。
 そこで、ハタとキーボードを打つ手が止まりました。私が発掘した映画ではないという少しばかりの後ろめたさもありますが、それよりも、この映画の時代背景が私の育った時代とぴったり重なるというのが書きにくさの原因です。
 この映画の舞台となっているのは、1980年代の大阪西成にある中学校です。「世の中の矛盾が集まる混沌としたまち・・・」大阪西成。部落差別、人種・民族差別、貧困・・・その中で荒れる生徒たちと正面から向き合い、親しまれた実在の先生・蒲益男さん(愛称「かば」)をモデルにした映画です。場所は違えど時代は同じということで、私が通っていた中学校でも似たような雰囲気がありました。同じように熱血先生もいました。いろいろ問題はあったのでしょうが、今思えばギュッと凝縮された、濃密な、エネルギーが充満した時だったようにも感じます。ということをツラツラと書くと、なんとなくノスタルジックな気分に浸ってしまって終わりという恐れもあります。
 そこで少し違った視点から、紹介をしてみます。私は映画を観るのが好きです。現実にはありえへんやろう!という奇想天外なものも好きですが、好んで観るのは、日々の暮らしを描いた作品です。そして、結末はあまりハッピーエンドでないものが好きです。すごく変な人みたいですが・・・。実際の人生においては、後味の悪いこと、理不尽なことが多いです。うまくいったと思えることよりも後悔することの方が多いです。それでも、そのような暮らしの中で、主人公だったり、その周辺で生きる人々だったりがどうやって日々を過ごしていくのか・・・映画を見終って、なんとなく大丈夫、と思えるそのような映画が好きです。
 みなさんはどうですか?映画を観ますか?どのような映画が好きですか?
 所詮は映画の中のできごとですが、ものがたりと一緒に、自分が生きるはずのない、いろいろな人の人生を生きることができます。映画の中の一員となり、登場人物と気持ちを共有することができます。一緒に喜んだり、怒ったり、涙したり、笑ったり・・・そしてその経験が折に触れて実際の自分自身の生活を支えてくれることもあると思います。
 今回の映画の舞台は30年ほど前の学校ですが、そこで繰り広げられるものがたりは、今の時代にも通じる、否、人間関係が希薄になりつつある今の時代だからこそ考えなければいけないことが語られています。もちろん、学校現場において、30年前とは違う新たな問題も多くあります。ですが、その根底に流れるものは変わらないと思います。「教師」と「生徒」である前に、「人」と「人」であること。相手を尊重し、信頼し、体当たりでぶつかりあう、正面から向き合う。このことは、いつの時代にも共通する普遍的なものであると思います。私も、大学という研究・研究現場で学生たちと関わる身です。映画の中の「かば先生」になりきることはできないと思いますが、映画の中の一員となった気分で、学生と向き合ってみるか・・・。
 この映画は、現段階では完成版ではありません。上映するのはパイロット版です。なんとか完成版を作成したいと奔走されているエグゼクティブプロデューサーの川本貴弘さんにも登場していただき、映画にかける思いを伺いたいと思います。静かな冬の午後のひととき、一緒に映画を観てみませんか?

(すとう・あきこ=人権研センター特任事務職員)

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