人権教育研究センター

第29花園大学人権週間 講演3

阪口青葉さん(NPO法人障害者の自立を支えるサポートネットワーク・防災士)

 阪口青葉さん

◆プロフィール◆
 さかぐち・あおば
2008年NPO法人障害者の自立を支えるサポートネットワーク(サポネ)に入社。2011年介護福祉士取得。学生時代に阪神淡路大震災を経験したこともあり、東日本大震災を機に防災士の資格を取得。上級救命講習修了。2012年甲種防火管理取得。2013年応急手当普及員修了。介護に従事しながらも防災士取得後、毎年サポネのみならず他事業所での防災訓練、避難訓練などの講習を行うと共に普通救命講習なども行っている。障害者視点なども考慮した防災・避難訓練、実践形式などを行い、状況に応じた避難が出来るように指導している。

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「互いに知り合う防災」

防災レンジャーHANAZONO

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NPO法人『障害者の自立を支えるサポートネットワーク(以下サポネと略)』
1960年代まで障害者は隔離される山奥の建物に千人から一万人規模でリハビリの名のもとで過ごすのが障害者にとって良い社会だと思われていました。しかしそうではなくて「障害者である前に一人の人間として暮らしていきたい。」そんな思いを尊重し、サポネは次の四つの活動を行っています。
一、障害があっても住み慣れた街で暮らしたい。そんな夢や生活を実現するためヘルパー派遣を行い24時間365 日必要な時サポートをしています。
二、イベントで障害ある人ない人の交流の場を作ります。イベント企画等は障害を持つ方々で作られ実行委員会が存在します。
三、サポーターの研修です、まだ知られていない障害者生活について学び意見交換します。
四、一般民家をそのまま利用して、障害者デイサービスや高齢の方、障害を持つ方、子供さん誰もが楽しく過ごせる宅幼老所を運営しています。
他にも、サポネの活動を発信するためサポネ通信やホームページ、Facebook、ツイッターでの情報発信をして地域に広がっていくことを目的にしています。ホームページ内に防災ページもあります。

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 昨年の人権週間では、佛教大学の後藤至功先生に「災害時、命とくらしを守る」という内容で被災地の状況や、先生ご自身の体験も交えて講演して頂きました。
後藤先生は講演の中で、「災害に対する備えは、しっかりしなければならない」と何度もおっしゃられておりました。
 そこで私たち防災レンジャーは、昨年の講演を踏まえ、災害時に学内の生命をどのように守るかを考えるきっかけとして、今年の人権週間での講演を企画しました。
 今年度の企画会議を我々、防災レンジャーで企画する中で、高木が提案した、地域で活動されている大阪府豊中市のNPO法人『障害者の自立を支えるサポートネットワーク(以下サポネと略)』で、防災士として活動されている阪口さんに講演を依頼する事になりました。
 サポネは、障害を持った方が、どのように地域と繋がるかという事を、主目的に活動されており、住み慣れた街で暮らしたいという理念で、実生活のサポートや、サポーターの研修、障害の有無を問わず、交流の場を積極的に設け、活動を行っている。
 このような活動を行っているサポネ防災士の阪口さんから、学内の生命を守る、方法やヒントが得られるのではないかと考えました。
 斯様な経緯を踏まえ、私達は今年の8月5日大阪府豊中市にあるサポネにインタビューに訪れるに到りました。
 今回、防災レンジャーの代表日本史学科4回生仲田大悟・臨床心理学科3回生高木智志・臨床心理学科2回生中塚翔稀・臨床心理学科2回生宇津木三徳・日本文学科2回生渡辺裕衣がインタビューを行いました。
 インタビューにお応えして頂いたのは、防災士の阪口青葉さんとサポネ代表石倉優子さんです。

以下同日のインタビュー内容より

―そもそも防災士とは、どの様な役割のお仕事なのでしょうか。

 仕事と言うよりは、1つの資格です。
防災について講習の場等で周囲に伝えたり、実際に防災訓練などを行ったりしております。

―なぜ防災士という資格を取得しようと思われたのでしょうか。

 キッカケは東日本大震災でした。私の後輩が震災後に東北へ行った際、障害者の方の居場所を市に伝える事が困難でした。障害者がより安全に迅速に避難できるように防災の知識を身につけるために資格を取得しました。皆さんが知っているようで知らない防災を実現したいと考えたからです。

―では災害に遭った時または普段からの対応について気をつけることは何でしょうか。

 障害者の救助は非常に困難な事です。障害者の方と関わりを持つ人が少なかったので、やはり知っている人との関わりが重要だと思います。
 周りの人が、障害を持っていることを、知っている人がいるのといないのとでは大違いで、それだけでなく知り合いであるかどうかというのも大きいのですが、最近の世間ではご近所付き合いが無く、問題だなと思います。
 こんな事がありました。私がヘルプに行っている人工呼吸器をつけている人に、どう避難するのか聞くと、家から少し離れた所に通っていた小学校があり、昔からの知り合いが周りにいるそちらに行くとの事でした。
 やはり、どう生活するかより、知り合いが居るのかどうかが大きいと思います。
 車椅子の乗り降りや就寝時の体勢も人によって違うので、自分の存在をアピールして周知する事が大切です。

―実際に災害でケガした時の対処と緩和の方法を教えて頂けますか。

 火傷の場合は冷やし、止血はバンドでしめるのですがしめすぎないように気をつけます。実際には救命処置講習も行い医療的知識を伝えています。

―例えば避難所の問題点や要支援者に配慮すべきことは何でしょうか。

 障害者の方によっては知らない人が大勢いる空間がすごいしんどくなって、その場にいることで余計パニックになり、災害時ですから日常ではないことが起こり動揺してしまって、緊張が高まってしまいます。その結果、崩れかかった家にいた方が良いということを聞いたことがあります。
 仮に障害者用トイレの場合だと、設置というよりも手伝ってくれる人を置いてもらうことを呼びかけています。ただ豊中市では作業所などの集まりでは前もって設計の段階から働きかけています。介助をお願いするほうも、それを受け入れるほうも勇気を出すことが大切ですね。
 さらには、人工呼吸器や電動車いすなど電気を使わないと生活できない人のための発電機が必要です。
 どの障害を持つ方もそれぞれにヘルパーが付いていても、その人自身がこういった生活のし辛さを持っているのだということを周りに知ってもらい、協力してほしいことも事前に話し合っていくことが重要です。また小さいお子さんの場合は離乳食のみならず、きめ細かい配慮が必要となります。

阪口青葉さんインタビュー風景

感想 (インタビューを受けて)

(仲田)防災というと、どうしてもテクニカルな部分に目が行きがちであったが人との繋がりや周囲への声掛けなど日常生活の中での工夫で防災に繋がると知って、自分の日常を見直そうと思った。また住んでいる地域で周囲の人と知り合うことも「防災」であると知り、お互いに関心を持つことで災害に対する被害を減らす一つの有効な方法で誰でも実践できる方法だと強く感じた。
(高木)地域と共に防災を考えているところが印象に残りました。障害者と健常者の区別なく、ひとりひとりの防災の計画を立てることが必要だと思いました。
(中塚)サポネの阪口さん・石倉さんのお話を聞いて一番印象に残ったのは人との繋がりが大切だということが印象に残りました。自分自身お話を聞くまで、やっぱり災害に備えて設備が大事だと思っていましたが、設備というより人との繋がりと何度もインタビューの中で繰り返しおっしゃっていたので、まず地域の人とつながる、周囲の人たちの事を知っておくというのが、少しでも被害を軽減できる重要なポイントと思いました。しかし設備がまた不十分だとおっしゃっていました。
 でもこういう地道な活動がやがて大きくなり、形になるのだと確信しました。私も今回のことでより人との繋がりが、いかに大切かということが改めて分かりました。これからさらに心がけていきます。
(渡辺)防災や避難する上で何よりも大切なことが、人と人との繋がりであることを知りました。
 障害を持つ方、周りの方または地域の方とのコミュニケーションや要望などを話し合っていくことが重要だと感じました。また阪口さんの講演の中でワークショップも行いますので、参加して頂いた方と共に新たな知識を身に着け、緊急時に少しでも生かせるように学習していきたいと思います。

おわりに

(宇津木)人と人とのつながりがどんどん希薄になっているから、それが防災にも影響されています。
 まずは自分自身の避難や援助をする前に、普段からその人に密着することやコミュニケーションが重要になってきています。だから自分自身を守る(防災を知る)ことから人を守っていくことにつながります。
 資格の勉強や専門分野の方、また自分の防災意識を見直したい人など多くの方に講演を聴きに来ていただきたいと考えています。
 今回の講演ではその一部で体験型学習(ワークショップ)も行い皆さんと情報を共有したいと思います。

(ぼうさいれんじゃー・はなぞの)

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