人権教育研究センター

第25回花園大学人権週間 講演1

「人のせいに、しない。」

児嶋文憲

 原子力発電所をクローズアップして見ていくと色んな問題が浮かび上がってくる。放射能の脅威、ジェンダー、沖縄の基地問題、原発労働者の被曝、農業の風評被害の二面性、強欲経済や天皇制など色んな社会問題を垣間見ることができる。そんな中、縁あって38年前から原発労働者の劣悪な労働環境を訴えてきた樋口健二さんという方にお会いして話を聞くことができた。
 インタビューで大きく3つのことを伝えてくださった。まず、原子力発電所自体を製造しているのは三井・三菱・住友などの財閥だということ。次に、原発では年一度二か月程度の定期検査に何千人投入していること。彼らの仕事は放射能で汚れた床を雑巾で掃除すること、核廃棄物の処理などである。今回の事故で元々労働者の被曝線量は50ミリシーベルトであったのが、一時250ミリシーベルトにまで上がったが、今は100ミリシーベルトになっている。しかし、彼が言うに2.5ミリシーベルト浴びると癌になるそう。最後に原発は差別の上に成り立っているということ。つまり、原発内労働の形態は、構造として一番上は関西電力・東北電力などの電力会社。その下に元請けとして三井・三菱・日立の一流企業がある。それより下は順に下請け→孫請け→ひ孫請け→人出業。東電の社員が働いているかと思いきや、働いているのは下請け以下の未組織の方々なのだそうだ。そして彼らは、ホームレス・元炭鉱労働者・被差別部落など。また、樋口さんは38年間この差別構造をなんとか変えたいと思い労働者被曝を追求してきたのだ。しかし、ここでふと思ったのだが「差別、差別」といっても彼らは生きるために働いているということを忘れてはいけないと。
 以前に沖縄の高江という所に基地を建てさせない為の坐りこみに参加させていただいた。そこでの主な仕事は日中、防衛庁が引き連れてくる建設作業員を建設予定地に入れないようにスクラムを組んで防ぐことだ。印象に残っているのは、おばあが防衛庁職員に向かって「本当に頼むから建てないでくれ。」と涙ながらに懇願している姿。そんな中、基地問題の背後にゼネコンが絡んでいるのを知った。
 原発にしても沖縄にしても現場では多くの人々が苦しんでいる。でも、その裏では大手企業が肥えていく現実がある。それも金銭欲などの人間の欲のせいなのだろうか。ただ、そうだすると決して他人ごとではない。

(こじま・ふみのり=国際禅学科二回生)

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