文化遺産学科

人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的

考古学、民俗学、美術史学、博物館学等の教育・研究を通じて、文化財を調査、保存、活用する高度な方法を身につけることで、日本の歴史・文化についての高度な知識を持つとともに、その知識を博物館などを通じて社会に還元することができる人材を養成する。

文化遺産の宝庫、京都で学ぶ
―考古学・民俗学・美術史学・博物館学・地域文化論・情報歴史学から「文化遺産」に迫る―

「文化遺産」とは? ―文化遺産と文化遺産学―  

「文化遺産」とは、以前の時代につくられた文化財のうち、現在に伝わるものを指す言葉です。具体的には、幅広い事物・事象が含まれます。
たとえば、絵画、彫刻、工芸品などの美術作品は代表的な文化遺産の例です。それを研究するのが美術史学です。

また、貝塚、古墳、竪穴住居跡などの遺跡や、遺跡から出土する石器、土器、埴輪などの遺物も文化遺産です。それを研究するのが考古学です。

さらに、人々が日常生活の中で生み出して今日まで継承してきた、「伝統的な生活文化」と呼ばれるものがあります。衣服・食物・住居、農業などの生業、様々な信仰、七五三などの人生儀礼、祭礼などの年中行事といったものです。それらに関する風俗や習慣、使われてきた家具・農具などの民具も含まれます。
これらはすべて文化遺産です。それを研究するのが民俗学です。

さて、京都は伝統的な町並みといわれます。京都の町並みは、そこに暮らす人々の生活・生業、風土などによって形成され、周囲の環境と一体となった風情のある景観を形成して今日に至っています。また、京都には、祇園祭に代表される祭礼などの伝統的な生活文化が数多く残っています。
これらも文化遺産です。京都という地域そのものが文化遺産なのです。文化遺産という視角から地域を研究するのが地域文化論です。

文化遺産を研究する際には、コンピュータを利用することが有効です。たとえば、コンピュータを使えば、発掘調査の結果をもとに、遺跡や歴史的建造物をコンピュータ上で復元できます。また、異なる時代の地図をコンピュータ上で重ね合わせて、都市など地域の変化を明らかにすることもできます。  このように、コンピュータを駆使した歴史研究を行うのが情報歴史学です。

文化遺産は、博物館や美術館において展示されます。博物館の役割は、文化遺産などの幅広い資料を収集・保管し、展示したり、資料について調査・研究をしたりすることにあります。
博物館で働く博物館学芸員の実務をはじめとして、博物館活動全般にわたって研究するのが博物館学です。
文化遺産学科は、これらの考古学・民俗学・美術史学・博物館学・地域文化論・情報歴史学という「文化遺産」を研究する専門分野を、「文化遺産学」として幅広く学べる学科です。

「文化遺産」が幅広く学べる

文化遺産学科には、これらの考古学・民俗学・美術史学・博物館学・地域文化論・情報歴史学という文化遺産を研究する専門分野について、専任教員が揃っており、卒業論文作成のためのゼミナールが開講されています。
つまり、文化遺産に関する非常に幅広い分野について研究することができるのです。文化遺産学科は、文化遺産の研究に関する豊富なメニューを揃えています。
また、新たに建設される予定の校舎には、文化遺産研究のための最新の設備を揃えた美術史学実習室、博物館実習室、マルチメディア研究教室などが配置されます。

京都で「フィールド・ワーク」 ―文化遺産研究の方法―

文化遺産を研究する際に重視されるのが、「フィールド・ワーク(野外調査)」という方法です。
つまり、史跡、発掘現場、祭礼、寺院や神社、博物館や美術館などに、実際に足を運んで調査・研究を行うのです。
京都は「文化遺産の宝庫」であり、フィールド・ワークを実施するには、これほど恵まれた環境はないといっても過言ではありません。
京都には、祇園祭に代表される祭礼などの伝統的な生活文化が数多く残っており、「民俗学」や「地域文化論」の格好のフィールドとなります。
また、「考古学」の発掘現場にも恵まれています。
さらに、寺院や神社、博物館や美術館が数多く存在することは、「美術史学」や「博物館学」の研究をする上で、非常に有利な条件といえます。
文化遺産学科では、この「地の利」を生かして、多彩な専門分野の方法論に基づき、広い範囲にわたる文化遺産の世界を研究することができます。

考古学 ―発掘をして歴史の真実に迫る―

貝塚、古墳、竪穴住居跡などの遺跡や、遺跡から出土する石器、土器、埴輪などの遺物を自らの手で発掘し、そこから「歴史の真実」に迫ります。

民俗学 ―伝統的な生活文化を明らかにする―

いわゆる「伝統的な生活文化」、すなわち、衣服・食物・住居、農業などの生業、様々な信仰、七五三などの人生儀礼、祭礼などの年中行事、これらに関する風俗や習慣、使われてきた家具・農具などの民具といったものを研究して、「日本人の心」に迫ります。

美術史学 ―数々の美術作品に触れて美の本質に迫る―

日本美術の歴史について、美術作品のおもしろさや、その歴史的な意義を追求して、「美の本質」に迫ります。
西洋や東洋の美術の歴史を研究することもできます。

博物館学 ―博物館で実務を経験した教員が実践的な授業を行う―

文化遺産を展示する博物館について、博物館学芸員の実務など博物館活動全般にわたって、「博物館の実態」に迫ります。
学芸員の実務を経験した教員が実践的な授業を行います。

地域文化論 ―京都を中心に地域の文化を明らかにする―

京都を中心に、文化遺産としての地域を研究して、「地域の実像」に迫ります。
古くから日本文化の中心であり続ける京都について、様々な角度から研究します。

情報歴史学 ―コンピュータを駆使して文化遺産研究を行う―

遺跡や歴史的建造物をコンピュータ上で復元したり、異なる時代の地図をコンピュータ上で重ね合わせて、都市など地域の変化を明らかにしたりするなど、「コンピュータを駆使した文化遺産研究」を行っていきます。

文化遺産学科のカリキュラム

文化遺産学科では、3回生次からゼミに所属し、4回生次(卒業年次)に卒業論文を作成・提出することになります。

そのため、文化遺産学科のカリキュラムは、卒業論文を作成することを前提に学生の研究が系統立って深化できるように配慮して、1回生次から構成されています。

主な必修科目

1.文化遺産学総論(1回生次から履修可能)

文化遺産学とはどのような学問なのかについて理解するための科目です。
各教員が分担して、考古学・民俗学・美術史学など各自の専門分野について入門的な講義を行います。

2.文化遺産学基礎演習(1回生次必修)

文字で書かれた歴史上の記録である「史料(文献史料)」を読む基礎的な力をつけるための科目です。
基本的な史料を講読しつつ、史料解読のための基礎的な知識や辞書類など研究に欠かせない「道具」の利用方法などについて学びます。

3.文化遺産学研究入門演習(2回生次必修)

文化遺産学を研究する基礎的な力をつけるための科目です。
考古学・民俗学・美術史学などの専門分野について、研究文献を検討したり、実際に文化遺産を扱ったりすることによって、文化遺産学の基礎的な方法論について具体的に学びます。

4.文化遺産学演習A(3回生次必修)

5.文化遺産学演習B(4回生次必修)

3・4回生次に開講される卒業論文作成のためのゼミナール(ゼミ)です。
学生は、各自の研究テーマについて、過去の研究成果(先行研究)や文化遺産について調べて研究発表を行い、それに対して、教員の指導と他のゼミ生による討論が行われます。
このようにして、2年間かけて卒業論文を作成していきます。

主な選択必修科目

1.考古学概論・民俗学概論・美術史学概論・博物館学概論・京都学概論・情報歴史学概論などの「概論」

考古学・民俗学・美術史学・博物館学・京都学・情報歴史学の基本的知識を理解するための科目です。
最新の研究成果をふまえて、それぞれの専門分野を概観する講義が行われます。

2.考古学研究・民俗学研究・美術史研究・情報歴史学研究などの「研究」

考古学・民俗学・美術史学・情報歴史学について、それらの分野の専門的な研究成果を理解するための科目です。
最新の研究成果をふまえて、特定の研究テーマを取り上げて講義が行われます。

3.考古学実習・民俗学実習・美術史実習・情報歴史学実習などの「実習」

考古学・民俗学・美術史学・情報歴史学について、それらの調査・研究に必要な知識や技術を身につけるための科目です。
フィールド・ワークを行うことや、文化遺産や機材・道具類に実際に触れて実習を行うことが重視されます。

日本史学科との連携 ―「日本の歴史と文化遺産」のすべてをカバー―

文化遺産学科と日本史学科のカリキュラムは密接に関連しています。学生は文化遺産学科に設置されている科目だけでなく、日本史学科に設置されている古代史・中世史・近世史・近現代史・禅文化史に関する諸科目も履修して講義を聴いたり、実習をしたりすることが可能です。
たとえば、考古学を研究する際には、古代史の研究成果を参照する必要が出てきます。そうした場合にそなえて、文化遺産学科で考古学を専攻する学生は、古代史の関連科目を履修して学ぶことができます。

取得できる諸資格

文化遺産学科では、博物館学芸員資格、図書館司書資格などを取得することができます。

花園大学歴史博物館 ―展示への学生参加と実践的な博物館学―

学内には「花園大学歴史博物館」があり、春と秋には企画展・特別展が開催されます。
展示を作り上げていく際には、教員・学芸員だけでなく、大学院生・学部生らの「博物館ボランティア」も展示作業に参加します。
ボランティアに参加した学生は、資料調査・整理や展示作業、受付業務など博物館業務を実際に体験することができるのです。
また、博物館実習などの博物館学芸員課程の授業は、ここで実施されます。
実際に博物館で実務を経験した教員から学内で実践的な授業を受けることができます。

京都学 ―花園大学オリジナルの課程―

専門分野の科目以外にも、「京都学」などの関係科目を自由に選択・履修して、幅広い教養を身につけることができます。
特に「京都学」課程は、歴史・文学・思想・文化などの様々な角度から「京都」を総合的に学ぶという花園大学のオリジナルな課程です。
教室での講義の他に、史跡、発掘現場、祭礼、寺院や神社、博物館や美術館などに実際に足を運ぶという「フィールド・ワーク」を重視します。
また、一般市民にも公開する夏期講座を毎年開催し、さまざまな分野の講演や芸能の実演などを実施しています。

京都で歴史を学ぶ ―他にないアドバンテージ―

花園大学は「歴史の舞台」であり「文化遺産の宝庫」である京都の「真ん中」にある大学です。
実は、花園大学の場所は、平安京右京の跡地にあたるのです。
京都で歴史を学ぶということは、「歴史の舞台」を実際に歩き、「本物」の文化遺産に数多く触れることができるという、他の地域には無い非常に有利な条件のもとで、歴史を研究できるということなのです。
実際に「歴史の舞台」を歩くことによって、歴史の研究書や古文書など歴史の史料に対する理解がより深まるのです。
また、「本物」の文化遺産に数多く触れることによって、「文化遺産を観る眼」が養われていくのです。
花園大学文学部文化遺産学科は、この「地の利」を生かして研究と教育を行っていきます。